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Twitterで数学に関する話題を発信しています。本家のサイトはログインしなければ閲覧できない仕様になってしまったので,当サイトに移して誰でも見られるようにしました。(2023.8.1)

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

$n(\{1,2,3\})=3$ という書き方は可能です。集合 $A$ の要素の個数を $n(A)$ と表すことと,集合 $A$ の定義を $A=\{1,2,3\}$ と書くことを認めた以上は,それを入れ子にした式も当然認められます。あまり見かけませんが正しい表記です。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

前にも書きましたが,$1\in\{1,2,3\}$ や $\{1\}\subset\{1,2,3\}$ や $\{1,2\}\cap\{2,3\}=\{2\}$ も認められます。要するに,集合に対して認められた式は,それが変数表記であってもリテラル表記であっても全く同等に認められます。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

確かこれはベクトルの内積から出た話だったと思います。$$(2,\,1)\!\cdot\!(1,\,3)=5$$と書いてもよいかという話ですが,$$\vc{a}=(2,\,1),\vc{b}=(1,\,3),\vc{a}\!\cdot\!\vc{b}=5$$という式が認められている以上は,もちろん正しいです。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

ベクトルの大きさを $|(2,\,1)|=\r{5}$ と表すこともできます。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

集合 $A$ の要素の個数を,高校では $n(A)$ と表しますが,大学ではあまり見かけません。代わりに $|A|$ や $\#A$ と表します。個人的には $|A|$ が好みです。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

高校では $A$ が有限集合の場合しか考えませんが,大学では個数の概念を無限集合まで拡張し,$|A|$ や $\#A$ を $A$ の濃度(cardinality)と呼ぶようになります。その由来で $\text{card}(A)$ と表すこともあるようですが,これはあまり見かけない気がします。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

もうすぐ48歳になります。48は約数が10個もあり,これまでの歳の中で約数が最も多い数です。その前は36歳の時で,約数の個数は9個でした。12年ぶりの更新です。更新の歳を並べてみると,1歳(1個),2歳(2個),4歳(3個),6歳(4個),12歳(6個),24歳(8個),36歳(9個),48歳(10個),60歳(12個),120歳(16個),…となります。次に更新できるのは60歳で,それが最後になりそうです。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

調べてみると,約数の個数を更新する数にはちゃんと名前があり,「高度合成数」といいます。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

“高度合成数は,伝統的な度量衡の体系にしばしば現れ (例 : 時間の24や60,角度の360,ダースの12など),また工学的な設計によく使われる。これは除算を含む計算が簡単に行える利点による” (Wikipediaより)

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

1次の近似式については,$x=a$ まわりの近似式,$x=0$ まわりの近似式,微小変化の公式といろいろありますが,どれも「関数のグラフも接点の近くでは接線とほとんど同じ」と言っているだけなので,接線の求め方さえ知っていれば,わざわざ覚えなくても大丈夫です。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

ただし2次以上の近似式にも対応したいなら,マクローリン展開の公式は覚えておくといいです。$n$ 次の近似に使うだけでなく,これをもとにした極限や不等式の問題が出たときにその背景が分かるので,1つ覚えておくだけで大変コスパのいい公式です。しかも作りは案外簡単で,忘れかかってもちょっと考えるだけですぐ再構成できます。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

マクローリン展開はこんな式です。$$\begin{align*}f(x)&=\sum_{n=0}^{\infty}\[f^{(n)}(0)/n!]x^n\\&=f(0)+f'(0)x+\[f''(0)/2!]x^2+\cdots\end{align*}$$本当はこれが成り立つ条件を厳密に考える必要がありますが,高校の範囲ではこの式と大まかなイメージを持っておくだけでも構いません。右辺を2項目で切れば1次の近似式,3項目で切れば2次の近似式です。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

この式が何をしたいのかざっくり言うと,関数 $f(x)$ のグラフに「高次の接線」を引こうとしています。1次式では直線しか表せませんが,2次式なら放物線,3次,4次と上げればもっと柔軟な曲線を表せます。それらを使えば直線よりもずっとフィット感の良い接線(接曲線?)を引けます。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

大まかなイメージというのは,$f(0)=g(0)$ だけならただ同じ点を通っているだけ。さらに $f'(0)=g'(0)$ ならその点を通るときの向きが一致。さらに $f''(0)=g''(0)$ ならその向きの変化のしかたまで一致。さらに $f^{(3)}(0)=g^{(3)}(0)$ なら・・・と,この一致が深くなるほど $x=0$ において2つのグラフが似てくるというイメージです。マクローリン展開の式は,これが無限に一致するように作られています。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

ベクトルを単位ベクトルに直すことを「ベクトルの正規化(normalization)」といいます。「データの標準化(standardization)」というと,平均が0,分散が1になるようにデータを変換することですが,その過程で偏差ベクトルの正規化が行われています。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

ただし,統計学や情報学の分野で「正規化」というと,通常は最小値が0,最大値が1になるようにデータを変換することを指し,「データの標準化」とは区別されるようです。「データの標準化」には「ベクトルの正規化」が使われているのに,それは「データの正規化」とは別というややこしいことになっています。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

データの標準化 $\[x-\bar{x}/s_x]$ を行うと標準偏差が $1$ になるのは,単位ベクトル $\vc{a}/|\vc{a}|$ の大きさが $1$ になることと同じです。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

簡単に説明すると,データ $\vc{x}=(x_i)\;(i=1,2,\cdots,n)$ に対し,偏差ベクトルを $\vc{u}=(u_i)=(x_i-\bar{x})$ で定めると,$\vc{x}$ の標準偏差 $s_x$ は,偏差ベクトル $\vc{u}$ のノルムとみなせます。$$s_x=\r{\[1/n]\textstyle\sum{u_i}^2}=\r{\[1/n]}\,\|\vc{u}\|_2=:\|\vc{u}\|_s$$

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

つまりデータの標準化 $\[x-\bar{x}/s_x]$ は,データの偏差ベクトル $\vc{u}$ を $\|\vc{u}\|_s$ で割ることでそのノルムを $1$ にする操作であり,単位ベクトル $\vc{a}/|\vc{a}|$ と同じアイデアです。

浜田昌宏 / 浜田塾@hamadajuku

標準偏差が偏差ベクトルのノルムであることは次を意味します。

  1. $\|\vc{u}\|_s=0~\douti~\vc{u}=\vc{0}$
  2. $\|a\vc{u}\|_s=|a|\,\|\vc{u}\|_s$
  3. $\|\vc{u_1}+\vc{u_2}\|_s\leqq\|\vc{u_1}\|_s+\|\vc{u_2}\|_s$
1.は「標準偏差が $0$ となるのは全データが同じ値のときであり,そのときに限る」という意味です。2.も変量変換の公式で知られています。