数学つれづれ草

今年は素数イヤー

前回の更新が2006年で現在は2011年。なんと5年ぶりの更新です。

さて,今年は西暦2011年で,平成で言えば23年です。この2011と23という数はどちらも素数です。このような西暦と和暦がどちらも素数であるような年のことを素数イヤーとよぶことにします。さて,素数イヤーというのはどのくらい珍しいのでしょうか。過去にはどのくらいあったのか調べてみました。

まず平成をさかのぼってみると,19年,17年,13年,11年,7年,5年,3年,2年が素数でした。このとき西暦も素数になっているかどうか調べてみると,2007年ダメ,2005年ダメ,2001年ダメ,1999年OK,1995年ダメ,1993年OK,1991年ダメ,1990年ダメ。ということで,以前に(1999, 11)と(1993, 5)の2回素数イヤーがあり,今年は12年ぶりの素数イヤーであったことが分かります。

そしてさらに調べてみると,その前の素数イヤーはなんと1913年,大正2年にまでさかのぼります。つまり,昭和時代には素数イヤーは1回もなかったことになります。さて,ここで問題です。昭和時代に素数イヤーが1回もなかったのはなぜでしょうか。ちゃんと理由があります。説明してください。

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これは簡単な問題でした。

1つの元号のもとでは西暦と和暦の差は常に一定です。例えば,今年はその差が2011-23=1998なので,平成時代の間はいつも西暦-和暦=1998ということになります。そして昭和時代はその差が1925でした。例えば終戦の年で計算してみれば,1945-20=1925になります。そしてこの1925という差は奇数であるため,西暦と和暦のどちらか一方が常に偶数だったことになります。そして偶数は2を除いてすべて合成数であるため,これでは素数イヤーのチャンスは昭和2年の1回しかなかったことになります。そしてその唯一のチャンスである昭和2年は西暦1927年で,これは1927=41×47と分解できるので素数ではありません。そういうわけで,昭和時代に素数イヤーは1回もなかったことになります。

さらに話を進めましょう。大正時代も西暦-和暦=1911で差が奇数なので,昭和と同じくチャンスは大正2年の1回だけです。そして大正2年は西暦1913年で,これは素数です。ここにようやく平成5年の前の素数イヤーがあったわけです。

実は明治時代も西暦-和暦=1867で奇数なので,チャンスは明治2年の1回だけです。そして明治2年は西暦1869年で,これは1869=3×7×89と分解できるので素数ではありません。ということは明治時代も昭和と同じく,素数イヤーは1回もなかったことになります。つまり,素数イヤーは明治,大正,昭和の間に,大正2年の1回しかなかったことになり,かなり珍しいものといえるでしょう。

…と思ったらまだまだ。実はよく調べてみると,明治時代にも素数イヤーは存在していたことが分かりました。これはどういうわけでしょうか。考えてみてください。

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今度は難しい問題でした。

明治5年の12月2日まで日本では太陰暦を採用したので,それ以前は西暦と和暦にずれがありました。明治5年の12月3日が西暦でいうと1873年の1月1日であり,この日を明治6年1月1日と改めることで以後西暦と一致させたそうです。ということは,

  • 明治4年は1871年だけでなく,1872年にも少し重なっている。
  • 明治3年は1870年だけでなく,1871年にも少し重なっている。
  • 明治2年は1869年だけでなく,1870年にも少し重なっている。
  • 明治1年は1868年だけでなく,1869年にも少し重なっている。

という例外が生まれ,素数イヤーの可能性が広がるわけです。そして実際,明治3年の終わりが西暦1871年の始めに重なっているところで,3と1871がともに素数となっているので,わずか49日間と短いながらも素数イヤーがあったことになります。

もうあまり数学と関係なくなってきましたね。そろそろやめにしましょう。江戸時代は勘弁してください。

(2011/04/01)