数学コラム
書籍紹介「証明の展覧会」
店頭で偶然見つけて一目惚れで購入した本です。タイトルを「証明の展覧会」(Proofs Without Word)というように,いろいろな公式・定理の証明を,式や言葉の記述ではなく図でやってしまうという面白いコンセプトの本です。
証明の展覧会Ⅰ・Ⅱ / Roger B. Nelsen
秋山仁・奈良知惠・酒井利訓 訳 / 東海大学出版会
例えば,三平方の定理の証明として,2つの正方形をいくつかの部品に切ってもう1つの正方形を作るパズルのような証明は有名ですが,そのような視覚的に理解できる証明を初等幾何だけでなく,三角関数・微分積分・不等式・数列・無限級数などのさまざまな公式・定理に試みています。
また,どの図も美しく,どのページもきれいにレイアウトされています。読みやすさだけでなくデザイン性にもかなりのこだわりが感じられます。絵本や図鑑のような感覚で,眺めるだけでも楽しめます。
ところで,これと同じような試みの本として,以前にブルーバックスの「代数を図形で解く」という本を買ったことがあります。代数の問題を図形に表して,直感的に解こうというものです。ただし,こちらは基本的に普通の読み物で,眺めて楽しめる「証明の展覧会」とは異なります。(結局は記述を追わねばならない)
扱っている話題は易しめで,高校2年までの知識があれば十分に理解できます。
(2003/08/15)